個展のお知らせ 『 浄/穢 ~Pure land, This impure world~ 』 

来月9月16日(水)から開催する個展の情報が解禁になりましたので、お知らせさせてください。

会場は日本橋タカシマヤ、新宿タカシマヤの2会場で、展覧会名は「浄(じょう)/穢(え)」です。まだまだ制作も残っていますし、準備もあってアタフタしていますが、少しづつ情報をお出しできればと思います。案内状は9月初めにお届け予定です。宜しくお願いいたします。

「大氷瀑布図 (部分)」 2015年

「皮算用」十六恥漢図シリーズ  2015年  F120号サイズ

——————————————————————-

「浄/穢」
  ~Pure land, This impure world~

【会期場所】
 ・日本橋タカシマヤ 美術画廊X
  2015年9月16(水) ~ 10月5日(月)
 ・新宿タカシマヤ 美術画廊
  2015年10月14(水) ~ 10月26日(月)

【時間】
 ・10時~20時

【ギャラリートーク】
 ・9月19日(土) 午後5時~
 「解剖!十六恥漢図シリーズ」
  野地耕一郎氏(泉屋博古館分館長)

 ・9月27日(日) 午後3時~
 「亀居山大乗寺・応挙アートにルーツあり!」
  山岨眞應氏(亀居山大乗寺副住職)
  瀬川泰和氏(日経映像ディレクター)

【助成】
 ・公益財団法人吉野石膏美術振興財団

【展覧会ステートメント】

右と左、善と悪、愛と憎。二択とか二極、対極という概念はわかりやすい反面、非常に厄介だ。たとえば、ニュースで連日報道されるあの問題にしても「右だ、右だ、やれ右だ」と一方に捉われ過ぎることの危険性を感じつつ、バランスこそ命と言わんばかりに中立な立場を取りつづける様には脆さを感じてしまう。恋人に「仕事と私、どっちが大事なのか?」と問われたならば、危機回避能力を発揮し、即座に求められている答えが導き出せるのに。

そこで、今回の展覧会では、近年取り組んでいる煩悩や菩提を主題に据え、二極の関係性に取り組む。とはいえ、煩悩即菩提という言葉があるように、煩悩と菩提は分け隔てられるものではない。とにかく、それらを頭の中ではなく、実際に作品として表現し、その作品群の中に「自分」を置くことを試みたい。

私が制作に煩悩や菩提をテーマに据える理由のひとつとしては、生まれ育った九州という地がアジア美術の盛んな地であり、昔から仏教美術に触れやすい土地柄であったことが挙げられる。羅漢をまつる寺院も多々あり、そのエッセンスを自作に取り入れていくことは、自分にとって自然なことだった。さらに、大学時代、福岡から電車で5時間半かけて通った応挙寺こと亀居山大乗寺(兵庫県香住)に入り浸っていたことも大きな要因になっている。私の作品は日本美術からの引用という側面がしばしば指摘されるが、美術と宗教の繋がりを育み、学んでいった契機はそういった環境と実体験にほかならない。

釈迦の十六人の高弟をモデルにして中国や日本で図像化されてきた「十六羅漢図」から着想を得て、2010年第1作を発表した「十六恥漢図」は、現代では、手を合わせること自体が希薄になりつつあるものの、そこに現代的な向き合い方もあるかもしれないと考えて開始したシリーズだ。悟りを開いた羅漢とは対照的に、本来、断たれるべき欲望や痴態をモチーフとして、現代人の有様を自己投影的に描きだすことを念頭に表現している。悟りを開いた存在をそのまま描くよりも、自己投影的な向き合い方の方がリアルに響くのではないか。図像に現代を投影し、そこに鑑賞者もまた「自分」を投入することで、何を見出すことができるのか。

ものごとを二極化することは、わかりやすいものの、危うさもともなっている。そこに生じる多少の破綻すら抱え込みながら、極の狭間にあるものや矛盾も表現しきってみせたい。

田中武

—————————————————————–